ファシリテーションと、コーチング・カウンセリングの違い
なぜ、1 on 1が喜ばれるのか?
前回の記事では、「1 on 1」と言うシンプルな方法を発明した!と言う興奮をお届けしました。興奮すると、難しい話をしたくなる悪い癖が出ました。そして、脱線・・・。
イノベーションの原理などに興味がない人には、迷惑なメールだったと反省しています。
今日は、気を取り直して「なぜ、喜ばれるか?」について、詳しく解説していきます。
なぜ、ファシリテーションと呼ぶのか?
1 on 1 ファシリテーションとは、ファシリテーターと受講者が、一対一でFILMシートを書くプロセスを通じて、様々な面(人生、生活、学習、仕事など)を同時に前進させるものです。
この1 on 1 を体験した方は、「コーチング」や「カウンセリング」と感じるようです。私たちも、同意しますが、あえて「ファシリテーション」と呼んでいます。
何故なら、一般的なコーチングやカウンセリングとは、根本的な部分で考え方が違うからです。端的に言うなら、「生命科学」をベースとした考え方があります。自己組織化、カオス、創発と言う考え方をベースに作っています。
これらの考え方をベースとすると、「押し付けない」「合理的楽観主義に基づく発想に変わる」「解決志向アプローチを取れる」「もっと視野を広げることができる」などが、起こりやすくなります。
コーチングとの違い
コーチングで多いのは、「ゴールを設定することを疑わないこと」です。ゴール設定が絶対に必要で、そして、見据えたゴールにまっしぐらに向かうべきだと思っているコーチが多いです。
一方で、生命科学的発想だと、「ゴールは、全体の流れ」と定義します。この流れは、一定期間は止まっているように見えるが、さまざまな行動によって変わり始めることは「当たり前」と思っています。
つまり、(自己啓発系)コーチングとは違い「もっと、地に足をつけて、周りをよく見て、エゴを抑えて、ワクワクする可能性を探求する」ようになります。そして、コーチは自分の実力を高く見せつける傾向(必要だと思っている人が多い)があります。セルフエフィカシーを高めるとか、不自然なエゴを肥大化させる危険を持っています。
それに対して、ファシリテーターは、「あるがままの自分」として、相手と接することを大切にします。そして、単に「一緒に学ぶ同士」として、良い聞き役をします。
カウンセリングとの違い
一方で、カウンセラーとの違いはシンプルです。問題について分析しないです。P.F.ドラッカーはスピノザの言葉を引用して「問題はやり過ごせ。機会に焦点を当てよ」と言っています。
ファシリテーターは「過去をほじくり返し、シャドーを特定し、うまくいかない原因を探る」よりは、未来の可能性に力を注ぎます。
カウンセリングや、占いの世界で、時々目にするのは「過去の原因から、現状の困難を見事に説明する」と言うシーンです。これは、投資の説明と同じです。投資の乱高下や、予測できないような現象は、「起こった後なら、いくらでも良い説明ができる」ものなのです。これらは、様々な研究で示されています。
人は、過去を掘り返して、「論理的な説明を創造する」が得意です。それこそが、論理力です。しかし、未来は「不確定要素だらけ」です。したがって、過去の不運の原因を特定するにしても、
「やらないことリスト、トップ3」
を作る程度で、十分だと思います。しかし、人は「不幸で可哀想な自分、悪い他人や世界」の物語を深め、自分を知ることに快感を覚える時があります。それは、形の変えた自己顕示欲であり、エゴでしょう。
このような状況に入らないためには「解決志向短期療法」のようなアプローチを取るべきです。ファシリテーターの役割は、シンプルに「今」に集中をして、「未来に対して、有効そうな手立てを素早く試すことを手伝う」のです。
極めて、実践的で、現実的で、現世利益?的なアプローチが「ファシリテーション」です。
良いコーチ、良いカウンセラーと体系化
ところで、以上のように書くと「偉そうだなー」と思っています。良いコーチや、良いカウンセラーは、私たちが「ファシリテーター」と呼ぶものを見事に体現しています。
私にもコーチがいました。私のコーチは、とにかく「聞き上手」でした。そして、鏡となって、私の考えを返してくれます。また、時に「感覚的なレベルで思考できるような問い」を投げかけてきます。
toiee Lab への第一歩は、このコーチの質問から生まれました。
同様に、良いカウンセラーは「現実を変え」ます。クライアントの過去をほじくり返さず、今の場所から、新しい未来への一歩を踏み出させます。それが、1mm という小ささでも、過去を振り返って、塞ぎ込むより、未来を見るように仕向けます。
私たちがあえて「ファシリテーション」と呼んでいるものは、シンプルに「良いコーチ」「良いカウンセラー」がやっていることです。
違いを挙げるとしたら「体系化」です。
良いカウンセラー、良いコーチは「実践の中、手探りで学び、なるもの」です。一方で、私たち、toiee Lab のファシリテーターは、「体系的な知識」や「ツール」を使うことができます。ツールのおかげで、一気に良いコーチや、良いカウンセラーのレベルに到達できます。
人類の前身の歴史を振り返れば、「先人の偉業」を体系化し、「凡人ができるようにする」ことで、達成されてきました。私たちがやっていることは、特別なことではないと思っています。
単に、先人の知恵を「扱いやすい形にした」だけです。
体系化されたものは、3本柱
もう少し、説明しておくと「体系化」したものは、3つに分かれます。
FILMシートをベースとする
1 on 1 の基本進行フォーマット
ファシリテーターマインドセット
この3本セットによって、大幅に学びやすく、実践しやすくなっています。
なぜ、よく学べたものを聴くのか?
さて、次回は「1 on 1の基本進行フォーマット」を紹介し、なぜ、そのようなことを行うか?について、説明したいと思います。
お楽しみにー。
追伸:
1 on 1 ファシリテーションの内容を「一人で」実行するのが、「FILMシートマスターコース」です。こちらは、ずっと無料で公開しています。まだ、ご覧になっていない方は、是非、ご利用ください。
次回からのメールの内容が、より深く理解できると思います。